社員から

ささやかな一言が、前へ進む大きな力になる。

村瀬 健太
愛知県出身 / 2018年入社

この工事は、ボクが入社してから間もなく始まった、初めて担当した現場です。県外出身、理学部出身のボクは、まずこの土地の方言や業界用語に慣れることからのスタートでした。いまではすっかり自分もなまっています(笑)。こんなボクも、2年目からは、現場の測量や丁張りも任せてもらえるようになりました。

山間部は雨風で土地の形状が変わるし、急勾配も多いしで正確な測量が難しいんですよ。しかも、設計図面を頭の中で3次元に置き換えて、機械掘削する位置や角度を決めて指示をするので、一筋縄ではいきません。

でも、難しいからこそ、図面どおりの現場ができた瞬間の喜びや達成感(安心感かも)は格別です。パズルやゲームと同じです。簡単に解けたり、クリアできたりしたら感動はないでしょ。

最近はもうひとつ、現場に立つ喜びを見つけました。近所に暮らすおばあちゃんが散歩のついでに「こんなに変わったんだなぁ」「もうすぐ完成かな?」と声をかけてくれるんです。「この地域の暮らしを守るのはこの砂防ダムなんだ」と感じるとともに、地域の人たちの期待が伝わってくるんです。

命の道を、仲間とつくる。

中島 祐希
長野県出身 / 2013年入社

三遠南信自動車道は、長野県飯田市から愛知県、静岡県をつなぐ高規格道路です。将来は、快適なドライブばかりでなく、災害に強い道路網の構築や地域医療サービスの向上などに寄与する重要な道路です。無事故で工事を終えたことに加え、新技術の導入や安全性・生産性の向上などが評価され、国土交通省から2年連続で表彰されました。

毎日の仕事で私が何よりも大切にしていることは「みんなを無事に帰す」ことです。その理由は、高校生のころのこと。父が道路工事の現場で事故に巻き込まれて大ケガを負ったんです。私たち家族だけでなく、事故を起こした人の家族もつらかったようです。父と同じ土木の道を選び、現場の責任者となったいま、「仲間の命を守るんだ」という意思がどんどん強くなっています。

「安全はコミュニケーションでつくる」。先輩が教えてくれたことです。「あそこは滑りやすい」「ここは死角になる」など、事前の打ち合わせは念入りに。ときには現場で大きな声で注意することもあります。それは、自分が仲間の命を預かっているから。

でも、休憩時間にはバカ話もたくさんします。気さくで楽しい職人さんたちとはすっかり打ち解けて、プライベートの相談をすることも。何気ない会話で信頼関係を築けていることが、仕事での助け合いにもつながっています。

おじちゃんの橋を渡ったよ。

牛山 茂則
長野県出身 / 1987年入社

総工費231億円。施工期間は5年。天龍橋は、この地域の人たちに欠かすことができません。しかし、写真奥に見える三代目天龍橋が寿命を迎え、架け替えることになったんです。こんな大工事を任され、もちろんプレッシャーはありました。コンクリートを打設するまでは気が気じゃなくて、寝つきも悪くなりましたよ(笑)。

橋を長持ちさせるためには初期工事の品質が肝心です。そのために、私なりに二つの工夫を施しました。一つは独自のひび割れ対策工法を考案したこと。二つ目は、コンクリート打設の時期を涼しい時期まで遅らせたことです。開通式の日は決まっていたので、工事を遅らせることは自分を追い詰めることになります。それでも、本当に良い橋をつくりたいじゃないですか。

2010年3月、新たに生まれ変わった天龍橋の開通式。早く渡りたい人たちが列をなし、その様子は地方新聞などにも大きく取り上げられました。

「今日、おじちゃんの橋を渡ったよ」と甥っ子姪っ子にいわれます。家族で通るたびに「お父さんがつくった橋だね」と子どもにいわれます。もちろん、すごく嬉しいんですが、工夫を凝らした結果、いまでも頑丈な橋であり続けて地域の人たちの暮らしを支えていることが何よりの歓びなんです。

社長メッセージ

今の私があるのは、あのときの失敗があったからだと思っています。

それは、大学を卒業して大手ゼネコンで働いていたときのことです。初めて測量を任されたとき、見る位置を間違えてしまいました。間違いに気付かないまま工事は進み、まっすぐつくるはずの擁壁の基礎が曲がってできあがってしまいました。

つくり直すには大金も日数も必要です。本気で会社を辞めようと思い、一番かわいがってくれていた所長に意を決して「辞めます」と言いに行ったところ、「たわけ!」とめちゃくちゃに怒鳴られてしまいました。しかし、それは測量のミスのことではありませんでした。「こんなことでくじけてどうする!」と叱ってくださったのです。

今の私があるのは、この失敗があったからだと思うのです。だから、このページにきてくれたあなたにも、たくさん失敗して、成長していってほしい。いまでこそ押しも押されもせぬ、屈強で頼りにしている社員だって、昔はよく怒られていました。みんなその度に成長してきたんです。

ウチは大きい会社じゃないから、大きな仕事ばかりじゃありません。でもその分、若いうちから挑戦できることがたくさんあります。先輩の陰に隠れていたら、いつまでたっても半人前です。尻拭いは先輩たちに任せて、積極的に仕事に取り組んでほしいと思っています。

相談ごとがあれば、おおいに先輩をつかってください。そして、ここ南信州・飯田で、のびのびと成長していってください。

北沢建設株式会社
代表取締役社長

北沢資謹